ヴォーグは、ファッション雑誌の代表的な存在。フランス、アメリカ、イギリス、オーストラリア、日本などインターナショナルに展開し、ハイファッションを牽引。アーヴィングーペンやヘルムートーニュートン、ヒーター・リンドバーグなど後に名を残すフォトグラファーたちが撮影を手がけ「ファッションフォト」をアートのジャンルにまで引き上げた雑誌。モデルたちにとっても、この雑誌で仕事をするのは一つのステイタスとし、さらにこう付け加えたそうだ。「それがわかっちゃう自分が悲しすぎるわ」。しかし、大抵の場合、私たちは無防備な犠牲者であるどころか、自分の意志でファッションアイテムになっているのだ。スタイルマゾヒストと言ってもいい。私たちは、時にバカバカしいファッションの世界に頭から飛び込んでいく。コルセットといった責め道具みたいなアイテムでさえ、疑うことを知らない。人間に無理やり押し付けられたものではなかったのだ。紐できつく縛り上げるこの衣類は、女性を文字どおり弱い性にしてやろうというよこしまな目論見を抱いた男たちが課した拷問道具のようなものだというのが、ファッション史研究家たちの昔からの見方だった。しかし、『コルセットその文化史』でヴァレリー・スティールが論じているように、実は、それは女性自らがもっと力のある存在になろうとして進んで用いていた道具だったのだ。同様に、ぴっちりしたミニやロー・カットのブラウスを身につける現代女性も、必ずしも男性的な権力構造に屈しているわけではなく、むしろ、自己表現を通じておのれの女性的な力を発揮しているのかもしれない。