均衡が崩れてしまったのかもしれなかった。僕らはそのなかを進まなければいけなかった。ひとつの国をなんとか通過しても、次の国に入ると、また新しい障害がもちあがってくる。なかなか楽な旅はさせてくれそうもなかった。このバスはトイレがなかったから、二、三時間おきにドライブインや茶屋で停まっていく。車内ではいつもコーランが流れ、日没時には乗客のほとんどがバスを降りて、ドライブインの脇にある簡易モスクでメッカに向かって祈りはじめる。
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陽が落ちると、砂漠の気温はどんどんさがっていく。西の空には、くっきりと三日月があがっていた。バスは深夜にインダス川を越えたようだった。目を覚ますと、ごつごつとした岩山から朝陽が昇りはじめていた。このアジアハイウェーの旅ほど、朝陽をよく見たことはなかった。夜行バスに揺られることが多いから、どうしても朝の太陽を目にしてしまうのだ。