結婚の現実を迎える

2011.09.01

神・仏・キリストといった宗教性を抜きにして行う人前結婚式は、いろいろなタイプがあり、水族館や空中スカイダイビング、遊園地、野球場での挙式が話題となった。莫大な費用をかけず、友人たちのボランティアで形式にとらわれないといった工夫が、若者たちのあいだでなされている。ところでヨメもムコも新しい人生に入るにあたって、自分たちが、異質の空間に移動することを潜在的に意識していた。とくに、花嫁が実家を離れ、婿方に属することを示す入家式や、三三九度の盃などには、その意味が形式的にでも機能している。人の一生の重要な折り目にあたり、危険な時空間を通過することによって新たな人生を獲得するという意識を、結婚式の習俗に読み取ることができる。式にいたるまで、ヨメとムコ双方の立場で懇切な手順がくりかえされ、やっと披露宴に至り、結婚の現実を迎えるのである。