ジプシーの墓地になっている

2011.06.29

ジプシーの証言を集めた、あるフィールドワークの調査によれば、「いったん流浪の旅に出たらやめられない」「われわれは流浪しなければいられない。血がそうさせるのだ。子供たちも旅に出てゆく。流浪したいという気持は彼らのなかにあるのだ、おそらくずっと昔からなのだろう」「ジプシーは流浪を続けなければいけない。さもないとジプシーでなくなってしまう。サイトを出て行かなければならない理由はそこにある」など、流浪こそ人生の理想的な生き方であり、ジプシーであるということのもつ意味の一部であるという信仰がある。(前出「旅するジプシーの人類学」ジュディス・オークリー著)数年前、スペイン、グラナダのアルハンブラ宮殿の近くにある、サクロモンテの丘を訪ねたことがある。あたりはジプシーの居住地になっており、丘の斜面を利用した住居や、山腹をくり抜いた酒場や飲食店がある。丘の上の方はジプシーの墓地になっているそうで、下から見上げると、そのあたりには四角い墓石が散乱していた。日が沈むと、丘の斜面一帯では灯がともりはじめる。